本記事はナナメの夕暮れの簡単なあらすじや登場する名言、読んだ感想をまとめています。
若林正恭著「ナナメの夕暮れ」
お笑いコンビ「オードリー」として相方の春日俊彰さんと共に活躍している若林正恭さん。
TVでは多くのレギュラー番組を持ち、2024年2月には自身がパーソナリティーを務めている「オードリーのオールナイトニッポン(ANN)」の東京ドーム単独ライブを大成功させ話題になっていましたね。
ちなみに私はドームライブのチケットが外れてしまい、泣く泣くライブビューイングを観てきましたがそれでも大満足な内容でした!!!
そんな若林さんはこれまでに何冊か書籍を出されており、そのひとつに今回ご紹介するナナメの夕暮れがあります。
日本最高峰の頭脳を誇る東大生も人生が変わった1冊に上げるほどの作品。
内容をまとめいきますのでぜひ最後までご覧ください!
ナナメの夕暮れのあらすじと感想
2018年8月30日文藝春秋より刊行。
その後、2021年12月に文庫化もされています。
お笑いコンビ・オードリーとして活躍する若林正恭さんのエッセイ集。
内容は雑誌「ダ・ヴィンチ」にて2015年8月号から2018年4月号まで連載されていたコラムをまとめたもので、本作の出版に当たって書き下ろしも加えた若林さんによる「自分探し」に関するエッセイです。
ひとつのエピソードがおよそ4〜10ページほどでまとめられており、まえがきとあとがきを除いた全38つのお話が載っていてファンの方も十分楽しめるボリューム感があります。
ちなみに後に発売されている文庫本には新たな書き下ろしが追加されています。
毎日が楽しくて充実しているという人は、今すぐこの本を元の位置に戻して、引き続き人生を楽しんでください。
「ナナメの夕暮れ」若林正恭著 文藝春秋(2018/8/30) まえがき より引用
このまえがきに書かれた一文、人生を楽しんでいる人を突き放すようなこの文に若林さんの強い思いが込められているような気がします。
芸人という立場もありつつ、本を出版するからにはたくさんの方に読んでほしいという思いも込められているはず。
しかし今がとても楽しくて悩みなど一切無い人にこの本は必要ない、むしろ邪魔になるので読んで欲しくないのかもしれませんね。
きっと誰もが感じている日常のふとした違和感。
解決するのも大事ですが、諦めるというのも選択肢の1つかもしれませんよ。
人付き合いや趣味、仕事などで思い悩むことが多いという若林さん。
彼が日常生活で感じたことを素直に文章へと落とし込んだ、面白くもあり考えさせられる内容に仕上がっています。
日々の生活に生き辛さを感じているそこのあなたへとお送りする、素晴らしいエッセイ集です。
再開します
本作で一番始めに描かれているコラム「再開します」の内容を簡単にご紹介します。
ここで若林さんは「気持ちの時効」についてこれまでの経験を元に綴っています。
この「社会」という場所に30歳でまともに触れ合うことができ、それから6年の時を経てこのコラムを書いた際には何かが吹っ切れた様子の若林さん。
当時から一緒に仕事をしているスタッフに5、6年前のダメ出しをされたり、書きたいことが思い浮かばずダ・ヴィンチでの連載を半年間休止していたりと、うまくいかない日々があったようです。
しかし様々な葛藤を乗り越えることでダメ出しも受け入れることができ、書きたいこともスラスラ書けるようになったと言います。
さらに自分の悪い特徴でもあった人見知りも治ってきたんだとか。
若林さんは、これまで拒絶していた「社会」という世界がようやく地元になったと語っていました。
俗にいう若気の至りというやつを断ち切ることができたんでしょうか?
答えの無い問題は時間が解決するとよく言いますがまさにこの瞬間、良い意味での諦めのような「気持ちの時効」が成立したのかもしれませんね。
ナナメの夕暮れを読んだ感想
お笑い芸人オードリーとして人々に笑いを届けている若林さんですが、本当にいろいろなことを考えながら、いや考えてしまいながら舞台に立っているんだということを知れました。
各エピソードを読むごとに、かなり繊細で自分や周りから情報を受信するアンテナがものすごく敏感な方だという印象を受けます。
ちょっとしたことでもネガティブに捉えがちな性格、まさに私自身も些細なことを気にするタイプなので共感度がかなり高いお話ばかりでした。
相手は大して考えてもいないのに、深読みしすぎてもしかしたらこんな意図があったんじゃないかな…と勝手に考えてしまい1日頭から離れないこともしばしば。
昔やらかしたことを思い出して布団に入ってから眠れなくなってしまったり。
自分や周りを凄く観察できていると言えば聞こえはいいかもしれませんが、あまりにも繊細すぎると生きるのも苦しくなってしまいますよね。
性格は簡単に変えることはできない、であれば一旦それを受け入れるか諦めて1日の終わりである夕暮れを待とう。
ナナメの夕暮れのタイトルは、斜に構えた若林さんが夕暮れ(終わり)に差し掛かっている、もしくは夕暮れを終えたという意味が込められているように感じました。
人生をうまく生きるコツが書いているわけではありません。
ただ「自分はこう乗り越えてきたよ」とか「こんなこと考えてたけどこう変わったよ」とか、1つ1つのお話ごとに若林さんが囁いてくれているような気がします。
自己啓発本とはまた違った、これからの人生を生きる上でのヒントがたくさん散りばめられた作品だと思います。
理想の人物像、あなたにもありませんか?
あの人みたいになりたい、これからこうなっていきたい。
もちろんそれを目標に頑張ることは大切ですが、理想を追い求めすぎて斜に構えていてばかりではツキは回ってきませんからね。
たまには理想ではない自分も受け入れて、来る夕暮れをまったり待ってみるのもいいかもしれません。
ナナメの夕暮れの名言について
ここからは私の完全なる独断と偏見で選ばせてもらった、ナナメの夕暮れで出てくる素敵な名言をまとめていきたいと思います。
今の生活に悩みや不安を抱えている方、人生に迷われている方はきっと共感できるはず。
改めて、毎日が楽しく充実した日々を送っている人は読まないでくださいね。(笑)
うまくいく喜びを感じるために
試すってすごく楽しいことなんだ。何かがうまくいく喜びには、それまでうまくいかない苦しみが必要不可欠だ。
「ナナメの夕暮れ」若林正恭著 文藝春秋(2018/8/30) ラウンドデビュー より引用
ある時、先輩に誘われてゴルフの打ちっぱなしに行った若林さん。
アドバイスをもらいボールを打つと真っ直ぐ飛ばせましたが、次の日になるとまた失敗。
しかし、またアドバイスをもらって意識し始めると再度うまく飛ぶようになります。
これは漫才にも似ており、成功することも大事ですが何より「試すこと」が楽しかったんだということに、若林さんは気付きました。
何かを試していると失敗は付き物、それでもうまくいった時の喜びは失敗すればするほど大きくなります。
失敗を重ねるごとに挑戦は辛くなってきますよね、自分がやるといったのにうまくいかないと周りの目も気になってきてしまいます。
ただこの失敗もうまくいったときの喜びのための貯金だと思えば、最後までやり通す力の糧になるはず。
とにかく試して失敗すら楽しむこと、成功の鍵は自分のちょっとした意識の違いでぐっと近づいてくるのかもしれません。
過去の傷から学べること
すると、最近生まれて初めて考え過ぎな人間に「考え過ぎだよ」と思った。
「ナナメの夕暮れ」若林正恭著 文藝春秋(2018/8/30) なぜ、こんなに怖いのか より引用
自分だけインフルエンザの注射を打つのが怖いのはなぜ?今乗っている飛行機の機長は本当に信用できる?失恋がこんなに辛いのは自分のせい?
日常に溢れる疑問の数々。
若林さんはほんの些細なことでも気になってしまい自分を責め、生き辛さを感じていたようです。
そしてこの疑問を解決するためにたくさんの本を読み、経験を重ねることで、ある一つの答えにたどり着きます。
それは過去の傷からほとんどを学ぶということです。
注射が嫌だったのに針治療すら自分から行くようになり、飛行機が恐ければ離陸前に寝てしまえば良く、女性に「気持ち悪いおじさん」と言われても笑ってみせる。
そんなことをたくさん経験することで、自分は考え過ぎだという気付きが得られた様子。
確かに考えに考え抜いて、実際やってみたらそうでもなかったという経験はたくさんの人がしているはずです。
私もこれからのことを考えると不安や焦りをたくさん感じて最悪の事態を想定してしまいがちですが、こういったネガティブな想像の約9割は起こることがないと言われています。
実際にそうならなかったから今無事に生きていられるわけで、自分の存在が何よりの証拠かもしれませんね。
この若林さんの言葉のように、もし自分自身が不安に感じている部分があれば客観的な目線で「考え過ぎだよ」と落ち着かせることのできる、余裕をもった生き方をしたいものです。
正解は自分の中にある
自分の内側に公式を作る方法論をぼくは教育で学ばなかった。
「ナナメの夕暮れ」若林正恭著 文藝春秋(2018/8/30) オリジナル より引用
正解の無い「お笑い」というカテゴリー。
若林さんはオードリーのネタ作りを担当しており、今でこそコンビの代名詞とも言えるズレ漫才で数々のお笑い好きを唸らせていますが始めはそうではありませんでした。
誰もやったことがないお笑いをやるのは簡単、だけど誰もやったことがないことで笑いをとるのはものすごく難しい。
今までの例をいくら頭に叩き込んでも、それを達成できるとは限りません。
これは多くの社会人が参考にしているビジネス書や自己啓発本にも通ずるところがあります。
本を出版している人は恐らく立派な人なのでしょうが、書いてあることはたまたまその人がうまく行った例。
自分が試してもその方法で成功するわけではないですし、むしろ成功しない確率のほうが高いでしょう。
学校や養成所でも成功式を教えてはくれません、あくまでこれまでの例を元に平均的な方法を教わるのみです。
自分が成功するための公式は自分の内側にのみ存在する。
そこには教育では学べないこともあるという、若林さんらしい一言でした。
ナナメの夕暮れのあらすじと名言まとめ
今回はナナメの夕暮れのあらすじや名言、読んだ感想をまとめてみました。
これまでたくさん拗らせてきた(笑)若林さんだからこそ完成できた素晴らしいエッセイ集だと思います。
今なにかに悩まれている方も、きっとそれは今後の人生において無駄にならない経験になるはずです。
ただ悩み過ぎも禁物。
どうしようもないことだって中にはあるので、良い感じに適当に日々を楽しんでいきましょう。
案外その方が解決に向かい、楽に生きていけるかもしれませんよ!
本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸いです。