この記事では「星を編む」のあらすじとネタバレ感想をまとめています。記事にはお話の結末が分かるネタバレを含んでおりますので、まだ読まれていない方は十分ご注意ください。
凪良ゆう著「星を編む」
2023年11月8日講談社より刊行、前作の第20回本屋大賞受賞作品「汝、星のごとく」のその後のお話を描いた正式な続編小説です。前作の主人公である暁海と櫂の周りには、ふたりに良くも悪くも影響を与えてくれるたくさんの人物たちが登場していました。
この作品ではそれら人物にも焦点を当てているため、「汝、星のごとく」では描ききれなかった過去のお話も綴られているとのこと。前作ではかなり泣かされましたからね、本当に周りが見たら引くくらい泣いてしました（笑）
それではあらすじとネタバレ感想を下記にまとめてまいります。
星を編むのあらすじ
はじめに星を編むのあらすじ（ネタバレなし）についてまとめます。前作「汝、星のごとく」で登場した人物の過去やその後について描かれる、前作を読んだ方なら必見の内容です！
内容は3部構成
本作の内容は下記の3部にて構成されています。
- 春に翔ぶ
- 星を編む
- 波を渡る
それぞれ独立した内容となっているのでどこから読んでもOK。けどやっぱり3番目の「波を渡る」は最後に読んでほしいかな…。前作に想いを馳せ、また泣きそうになります…。
春に翔ぶ
前作にて最終的に暁海と結婚することになった北原先生の過去のお話が描かれています。北原先生と結の実の母親である明日見菜々との出会いや、北原先生はなぜ血の繋がっていない結を育てることになったのか。これまで描かれなかった真相が明かされていきます。
暁海も知らなかった北原先生の秘められた過去。様々な事情が複雑に絡み合った、悲しい部分がありつつも北原先生の溢れ出るほどの優しさを感じることのできるお話となっています。
星を編む
櫂の漫画家時代に編集担当だった植木渋柿（うえきじゅうし）と、櫂が最後に綴った小説の担当をしていた二階堂絵理のその後の生活や仕事ぶりをまとめたお話。前作ではあまり絡むことのなかったこのふたりが、櫂の小説をきっかけに少しだけ深い関係へと発展していきます。
大好きな櫂が最後に残した作品、少しでも多くの人にこの作品を届けるため、植木と絵理は今日も忙しなく日本各地を駆け巡る。きっと櫂は、ふたりの姿を見て笑っていることでしょう。
波を渡る
月に一度、北原先生は菜々さんに会いにいく。
作品の最後を飾るのは前作の主人公の一人である、暁海のその後の物語。櫂との別れを経て、北原先生と結婚した暁海の人生はまだまだ続いていきます。櫂のいなくなった世界で暁海は何を想い、どのように時を過ごしているのでしょうか。
当たり前のように暁海も、一緒に住む北原先生や結も歳を重ねていきます。若かったあの頃に想いを馳せ、幸せも苦しさも味わった先に待っているものとは一体なんなのでしょう。
星を編むのネタバレ感想
ここからは星を編むのネタバレ含む感想をまとめていきます。お話の結末にも触れておりますので、まだ読まれてない方は注意してね！
「汝、星のごとく」では描かれなかった裏側
これまで明かされなかった北原先生の過去のお話や、植木と絵里の不思議な関係性、そして櫂が亡くなったあとの暁海の生活を描いている本作。3つのお話には喜怒哀楽の感情がすべてつまっており、読んでいてとても感情が揺さぶられました。
「春に翔ぶ」での北原先生のお話では、妊娠してしまった菜々がこれからハーフパイプで活躍する未来がある敦を庇い、北原先生に出産した我が子を託します、その娘がのちに長く一緒に暮らすことになる結です。「星を編む」では植木と絵里が、櫂が生前最後に描いた小説「汝、星のごとく」をきっかけとしてふたりで飲みにいくなど不思議と距離が縮まっていきます。最後の「波を渡る」では、気づけば58歳になった暁海が歳を取っても櫂を想う様子が描写されます。
前作で暁海について初めて読んだときはまだ高校生だったのに…こんなにも長く登場人物の人生を描いているので、感情移入せずにはいられませんでした。前作を思い出しながら読むと本当に染みます…。
辛いと思っていたけど、実は幸せだったのかもしれない
暁海と櫂は過去に親に散々苦労をかけられ、恋人となったものの長い別れを経験し、病気をも患い、人生においてたくさんの壁にぶつかってきました。「波を渡る」の終盤では、花火を見ていた暁海の耳に、亡くなった櫂の声が聞こえてきます。「俺らは、なんやかんや幸せやったんちゃう？」
櫂よ、最後にそんなこと言わないでくれよ…涙腺が崩壊してしまう…。笑
辛い過去であっても今思うと大事なことだったり、経験して良かったなと思うことありますよね。決してハッピーエンドの物語というわけではないかもしれませんが、暁海と櫂、そして北原先生はきっと今を幸せに生きていることでしょうね。最後の最後まで感動させてくれる素晴らしい作品でした！
星を編むの登場人物
最後に星を編むの登場人物をまとめています。内容にはネタバレを含んでおりますので一度読み終えてから、物語を整理する時の参考にどうぞ。
主な登場人物は12名
主な登場人物は下記に記載の12人の方々です。
- 北原暁海（旧姓：井上）…前作の主人公、櫂の恋人であり現在は北原草介の妻
- 青埜櫂…前作もう一人の主人公、暁海の恋人で元売れっ子漫画家、胃がんにより命を落とす
- 北原草介…暁海と櫂の通っていた高校の教師、櫂が亡くなった後に暁海と結婚
- 北原結…北原草介の連れ子、菜々の実の娘で草介とは血が繋がっていない
- 明日見菜々…草介が働いていた学校の元生徒、高校在学中に妊娠し、結を出産
- 敦…菜々の恋人、ハーフパイプの有名選手で結の実の父親
- 植木渋柿…漫画家時代の櫂と相方であった尚人の編集担当
- 二階堂絵里…櫂が最後に綴った小説の編集者
- 久住尚人…漫画家をしていた櫂の相方、漫画の作画担当
- 小野寺さとる…主婦で元漫画家、現役時代に櫂と尚人のアシスタントを担当
- ノア…結の婚約者、日本とオーストラリアのハーフ
- セレーナ…ノアと結の娘
まとめ
今回は星を編むのあらすじとネタバレ感想をまとめてまいりました。
毎度著者の凪良ゆうさんはいいお話を描いてくれます…なんとなく泣きたい気分の時に読める作品が前作に加えてまた増えました（笑）
悲しくも心温まる暁海と櫂の物語、これからもずっと語り継がれていってほしいですね。
本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸せです。
