本記事は「パズルと天気」の読んだ感想を簡単にササッとまとめています。ネタバレは含んでおりませんのでまだ読まれていな方もぜひご覧ください!
伊坂幸太郎著「パズルと天気」
伊坂幸太郎さんの短編集「パズルと天気」がとうとう発売されました。
多くの本が並ぶ書店でも一際目を引く綺麗な装丁。とっても清々しい青で彩られ、思わず一目惚れ。本って内容ももちろんだけど、出会いのきっかけは意外と装丁だったりもするんですよね。
伊坂幸太郎さん作品のレビュー記事一覧はこちらからどうぞ。
これまで自称「本をたくさん読んできた私」からすると、装丁がビビッときた本は内容も素晴らしく感じることが多い。
もちろん今回も例に漏れず素敵な内容となっていたので、ここで簡単にご紹介していきますね。
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「パズルと天気」概要
2025年5月28日PHP研究所より刊行。本年は伊坂幸太郎さんが作家デビューをして25周年ということで、これまでの作風を振り返ることができる短編集となっています。
というのも本作は全5作の短編が掲載されているんですが、うち本作の発売に伴って書き下ろされたのは1作品のみ。
つまり他の4作品はこれまで伊坂さんが過去に発表してきた作品であり、書かれた時期は全てバラバラ。
伊坂さんの知識や経験がそれぞれ異なる時期に生まれた作品たち。これまで伊坂作品を読んできた方は、内容とは別に作風の違いなども楽しめちゃう…かも。
各短編の簡単なあらすじ
パズルと天気に掲載されている短編5作の簡単なあらすじは以下の通りです。
パズル
2025年の書き下ろし作品。
とある悩みを抱えた「僕」。共通の趣味で知り合った人からマッチングアプリ上で悩み事を解決してくれる「名探偵」の噂を聞くと、僕は藁にもすがる思いでそのマッチングアプリをインストールし、名探偵へ悩み事の解決を依頼する。
竹やぶバーニング
2019年「森見登美彦リクエスト!美女と竹林のアンソロジー」に収録。
仙台七夕祭りのために出荷された竹の中に異物混入が確認され、仙台の酒屋で働く松本が対応することになった。担当者曰く、その異物とはかの「かぐや姫」だという。恐らくかぐや姫は美女だろうという推測の元、松本は美女を見つけるのが得意なホスト「竹沢不比人」とかぐや姫の捜索を開始した。
透明ポーラーベア
2005年「I LOVE YOU(祥伝社)」に収録。
半月ほど前に関西支店への転勤が決まった優樹は千穂と動物園に来ていた。交際を始めてから2年、先行きの見えない不安を胸に爬虫類館を観ていると偶然「冨樫さん」という男性と再開する。彼は数年前行方不明になった姉の元交際相手だった。
イヌゲンソーゴ
2014年「Wonderful Story(PHP研究所)」に収録。
同じ街に住むムサシ、ポチ、ジョーら犬たちはとある男の顔を見た瞬間に昔の記憶を思い出した。花咲じいさん、ブレーメンの音楽隊、忠犬ハチ公に登場する犬たちが自分たちの前世だったのだ。当時の因縁を晴らすため、力を合わせて勇敢に男へと立ち向かう。
Weather
2012年「Happy Box(PHP研究所)」に収録。
これまで派手な女性関係を披露してきた友人・清水の結婚式へ出席する大友。しかし新婦の明日香から清水の女性関係について調査して欲しいと依頼されてしまう。かつて自分の交際相手だった明日香の頼みを断れない大友は、清水にバレないよう調査を行うのだった。
「パズルと天気」感想
最後に「パズルと天気」の読んだ感想をまとめていきたいと思います。
極力内容や結末に関わるネタバレには触れておりませんが、念のためまだ読まれていない方は注意してくださいね!
伊坂作品の入り口に最適
本書に掲載されている5つの短編たち。内容は違えど、どこかほんわかとした空気を漂わせていてとっても読み易い。もちろん他の伊坂作品も読み易いことは間違いないんですが、天気とパズルは特に読みやすく読書初心者の方や伊坂幸太郎が気になっている人の入り口として最適な作品だと感じました。
なんせひとつのお話が短くて(四六判で40~50ページくらい)読了がし易く、他のお話とは基本的に繋がりがないので飽きずに最後まで頼めちゃうからね。
しかし伊坂さんと言えばゴールデンスランバーやアヒルと鴨のコインロッカーなどミステリー的な要素を含んだものが代表作として挙げられ、それに比べたら本作は伏線回収も少ないしザ・伊坂作品とは呼べないかもしれません。
ただ所々に軽いミステリー要素だったりそれこそ「仙台」要素だったり、伊坂作品の特徴が良い感じに散りばめられているので「伊坂幸太郎を知る」という意味ではとても良い入り口になっているのではと思います。
おすすめは透明ポーラーベア
個人的に本作で一番好きだったお話は3つ目の透明ポーラーベア。
主人公の優樹が恋人の千穂と動物園に行くと、かつて姉の恋人であった冨樫に偶然出会います。しかし優樹の姉は数年前に行方不明になっており…というお話なんですが、他のお話に比べるとちょっとだけミステリー要素が強めで面白かったです。
優樹の姉はシロクマ好きで「ポーラーベア」とはホッキョクグマ、つまりシロクマのことです。本書の装丁にもビルの上にちょこんとシロクマが座っていて可愛いですよね。
余談ですが伊坂さんは仙台市在住でこれまでも市内の様々な場所が作品に登場していることから、このお話に出てくる動物園は恐らく仙台市にある「八木山動物公園」がモデルになっていると思われます!
執筆時のエピソードも印象的
本書の終わりには著者である伊坂幸太郎さんがそれぞれの短編を書いた時のエピソードがまとめられています。
その文章がなぜ書かれたのか、デビューから25年経った今改めて読んでどう思うか、などなど伊坂さんの素直な想いが簡潔にまとめられ、作品を読むだけでは分からないお話を知ることができとても印象的でした。
一般的な社会人とは掛け離れた作家の世界。普段から本を読む人ならまだしも、あまり本を読まない人は作家さんがどのような想いを持っているか想像する機会って少ないですよね。
伊坂幸太郎という人物が少しだけ垣間見えるこちらのエピソード。これだけでも本書をお手に取る価値は十分にあると思いますので、少しでも気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
「パズルと天気」あらすじと感想まとめ
今回は「パズルと天気」のあらすじと感想をネタバレなしで簡単にご紹介しました。
装丁の印象通り、読了後は清々しい気分にさせられる伊坂幸太郎さんらしい短編集でした。
この他にも伊坂作品のレビュー記事をまとめておりますので、良ければぜひ目を通してみてくださいね。
伊坂幸太郎さん作品のレビュー記事一覧はこちらからどうぞ。
本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸いです。
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