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「ゴールデンスランバー」ネタバレ感想!伊坂幸太郎が描く長編小説

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本記事ではゴールデンスランバーのネタバレ感想を主にまとめています。あらすじにネタバレは含んでおりませんので、結末を知りたくない方は感想を読まないようご注意ください!


伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

2007年11月新潮社より刊行、日本を代表する小説家・伊坂幸太郎さんの名作です。

第21回山本周五郎賞受賞をはじめ2008年本屋大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2009年版第1位を獲得、さらに2010年には俳優の堺雅人さんが主演を務めた映画が公開されるなど、何かと話題になったすごい作品。

伊坂幸太郎さん縁の地である宮城県仙台市を舞台にした本作、なんと映画も実際に舞台となった仙台市の各地で撮影が行われたんだとか。

700ページ弱とかなりボリューム多めの長編小説ながら、そんなことは気にならないくらい面白い内容でした!

本作を読んだ上でのあらすじとネタバレ感想をまとめていきますね。

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ゴールデンスランバーのあらすじ(ネタバレなし)

はじめにゴールデンスランバーのあらすじを簡単に振り返っていきましょう、ここまでネタバレはありません。ある事件をきっかけに犯人へと仕立て上げられた男、その行末とは…?

内容は全五部で構成

ゴールデンスランバーの小説は以下の5部にて内容が展開していきます。

  1. 事件のはじまり
  2. 事件の視聴者
  3. 事件から二十年後
  4. 事件
  5. 事件から三ヶ月後

すぐに事件の流れについて入らないというのが本作の特徴でもあります。

第一部では事件のはじまりについて、そこから第二部で事件をテレビで見ていた視聴者を描いています。そして第三部で事件の詳細についてせまっていくのかと思いきや二十年後の未来を描き、ようやく第四部で事件の内容に入ります。

第三部まで読めば何が起こったのか理解することは十分できますが、ここまで犯人とされる人物が何を考えていたかなど詳細を描くことはほぼありません。

焦らしに焦らされてやっと第四部を読み始める頃には読者は先が気になって仕方がなくなっているでしょう、こういった構成も改めて振り返ると面白いですよね。

首相暗殺の犯人へと仕立て上げられた男

人々がごった返す仙台の街中は厳戒態勢が敷かれ、そこでは宮城出身の新首相・金田の凱旋パレードが行われていた。五十歳という若さで日本を背負う新たな首相になったこともあり、各メディアは注目を寄せテレビでは生中継も行われてる。オープンカーの後部座席に座り、国民に手を振る金田首相。

そこへ近づく一機のラジコン型ヘリコプター、ふわふわと高度を落とすと短い破裂音が響く。その音は取り付けられていた爆弾が爆発し、金田首相が暗殺された音であった。

事件の翌日、警察は容疑者を仙台市に住む男性「青柳雅春(あおやぎまさはる)」と特定し、テレビでもその内容を放送。しかし当の青柳雅春はその事件には一切関与していないのだった。なぜ自分が犯人になっているのか?間違いなく俺はそんなことやっていない。

首相暗殺という歴史を揺るがす大罪人へと仕立て上げられた青柳、そこには巨大で想像もつかない陰謀があるように見えた。犯人を捕まえようと拳銃の発砲すら辞さない追手集団からの、孤独な逃走劇が幕を開ける。

ゴールデンスランバーのネタバレ感想

ここからはゴールデンスランバーのネタバレを含む感想をまとめていきます。結末にも触れる内容となっていますので、まだ読まれていない方は十分ご注意ください!

首相暗殺の真犯人は?

首相殺しの犯人にされた青柳雅治、当の本人はまったく事件に関与などしておらず、彼を知る人々は口々に人を殺すような人間ではないと話ます。しかし警察が青柳を犯人と特定した以上、強制的にそれが真実となってしまうのが冤罪の恐ろしさ。

訳がわからないまま青柳は逃亡生活を強いられることになりましたが、結局のところ真犯人はどこの誰だったのかということは明かされることはありませんでした。ただ、分からないからといってモヤモヤした気持ちで読み終えたかと言われるとそうではなく、分からなかったが故に楽しむことができたと深く感じますね。

警察も馬鹿ではありませんから、何かしらの根拠を持って青柳を犯人へと特定していきます。しかし証拠の中には青柳本人が見に覚えのないものも含まれていました。その一つに青柳が一人でラジコンヘリコプターの練習をしている映像がありましたが、実際に青柳はそんなことしていません。

こんな感じで面白いくらいに、どう考えても青柳が犯人だろうという証拠がたくさん出てきてしまうんです。中には青柳本人が実際に行ったこともありましたが、もちろんそれは首相暗殺をするための準備などというわけではないのに、この事件が起こってしまったが故にそうとしか見えなくなってしまいます。

こういったところから青柳の影武者の存在が見えてきます。自分ではない、顔が同じ誰かがその証拠を作っているのだと。そんなことされていたらゾッとしますよ…、自分が犯人だと言われても否定する武器が何もないわけですからね。間違いなく影では組織的な何かが動いている、だけどそれが一体なんなのか、目的は何かということも最後までわかりませんでした。

最終的に青柳は自らの顔を整形し、自分自身を別人へと変え逃亡に成功します。そしてたまたまエレベーターに居合わせた元恋人の樋口晴子一家にぎょっとし、けれど整形しているので自分であるとは気づかないだろうと思っていたところに晴子の娘である七美が近寄ってきて左手の甲に「たいへんよくできました」と書かれた印鑑を推し終幕。

首相暗殺の冤罪という重たい内容なのに終わり方がほっこりというところも良い。整形をしていても、雰囲気や仕草から晴子はこの男性が青柳だと気づいたんでしょう。

このお話はフィクションですが、これまでの現実に起きた事件でもうやむやなまま解決とされてしまった事件があるかもしれない(たぶんいくつかあるのだろう)と思うと、現実に青柳のような立場に立たされた人もいるかもしれませんね。

仙台市の各所が登場

物語の舞台となった宮城県仙台市はもちろん実際に存在する地であり、仙台の各所がお話の中で登場。仙台市を知っている人なら、青柳がなんとなくあそこらへんを通ったんだな〜とか想像しながら読み進めるのも楽しい。

もちろん仙台を知らなくても十分楽しめる内容になっているのでそこはご安心を。もし本作を読んでみて伊坂幸太郎さんの他作品が気になったらぜひ以下記事もチェックしてみてくださいね。

伊坂作品は仙台が舞台のものがたくさんあります。機会があれば仙台に訪れていただき、伊坂作品の聖地巡りをするというのも楽しみ方のひとつではないでしょうか!

ボリュームがあるのに退屈しない

前述したとおり本作は700ページ弱ありボリューム感は結構多め。しかしながら物語がページを追うごとにどんどん発展していき、退屈感を微塵も感じることはありませんでした。特に内容の根幹となる第四部「事件」では、青柳の逃走劇やその元恋人である樋口 晴子、青柳の過去の知り合いたちの行動や心情が細かく描写されており、早く続きを読みたいという衝動に駆られることでしょう。

本屋大賞をはじめとして様々な賞を受賞し、映画化も為され、伊坂幸太郎といえば真っ先に「ゴールデンスランバー」が思い浮かぶ人も多いのでは?伊坂さんの代表作とも呼び声高い本作をぜひご覧になってみてくださいねぇ。

まとめ

今回はゴールデンスランバーのあらすじとネタバレ感想をまとめてみました。

私の出身地である仙台市の某所がたくさん出てきたので話の展開もさることながら、宮城や仙台を知っている方はより楽しめる作品になっていました。

もちろん仙台をまったく知らなくても十分楽しむことができますし、もし次の旅行先に迷われている方は仙台に行ってゴールデンスランバーの舞台を巡るというのも良いかもしれませんね。

本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸いです。

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