今回は伊坂幸太郎著「逆ソクラテス」をご紹介いたします。
巻末に載っている伊坂幸太郎さんへのインタビューでは子供をメインに据えた小説を書くのは苦手だと語っていましたが、なんともまあ素晴らしい作品に仕上がっていました。
短編なのでどのお話も読みやすく、伊坂作品をこれから読み始めたい方にはもってこいの小説です。
作品概要まとめ
2023年6月20日、集英社より文庫本発売。
第33回柴田錬三郎賞受賞、さらに2021年には本屋大賞へもノミネート。
逆ソクラテスをはじめ、「スロウではない」「非オプティマス」など5作品詰め込んだ短編集となっています。
掲載作品
・逆ソクラテス
・スロウではない
・非オプティマス
・アンスポーツマンライク
・逆ワシントン
・『逆ソクラテス』文庫化記念インタビュー
あらすじ:逆ソクラテス
小学校六年時の担任、久留米は物事を決めつける節がある。
クラスメイトの草壁はその標的になっていて、久留米のせいで「ダサい」というラベルを貼られていた。
「敵は先入観だよ。」
久留米の先入観を崩そうとする安斎に声をかけられた僕は、草壁、途中から参加した佐久間とともに作戦を実行する。
大人が決めつけたことが全てなのか?
今まで自分の中で決めつけてきた先入観について、改めて考えさせられる物語。
感想(レビュー)
どのお話もメインとなるのは学生のお話。
なのでいま現役で青春を謳歌せんとする学生諸君にはぜひ読んでほしいところ。
いや、青春を謳歌せずこの物語に逃げ込むのもまた良しとしよう。
逆ソクラテス。
かの有名な古代ギリシアの哲学者に「逆」をつけたその真意はぜひ自分の目で確かめてほしいとして、大人の私たちに先入観を崩せと言わんばかりの学生の言葉は少々耳が痛くなる気もする。
安斎の口癖、「僕はそうは思わない」。
果たしてこれを会社で言えるだろうか?
確かに自分はこう考えていたなぁとか、勝手に解釈していたなぁと気づきを与えてくれるとともに、やはり若者の意見には耳を傾けなければならないと感じさせてくれた。
どうしても大人社会を生き抜くためには、会社の暗黙の了解や常識とされていることに囚われがちだ。
そんな生活をしているとどうしても頭がカッチコチ人間になってしまう。
常識を常に疑うことって意外と大事なのかもね。
「自分は何も知らない、ってことを知っているだけ、自分はマシだ」
ソクラテス先生の言葉を胸に、常に謙遜して常識に囚われず生きていこう…
終わりに
今回は伊坂幸太郎著「逆ソクラテス」をご紹介しました。
凝り固まった頭を少しほぐすためにも、物語の学生達に刺激をもらってみてはいかがでしょうか?
本記事が少しでも多くの皆様の参考になれば幸いです。