本記事では逆ソクラテスの簡単な内容や感想を記載しております、多少内容にも触れていますのでまだ読まれていない方はご注意ください!
伊坂幸太郎著「逆ソクラテス」
かの有名な哲学者・ソクラテスの逆とはどういうことだろう…不思議なタイトルに込められた意味を理解したいならとりあえず読むしかない!
ちょっとした変わり者を主人公に据えた作品の多い伊坂さんですが、今回はそれぞれのお話で別の学生が主人公になっています。
巻末インタビューでは子供をメインに据えた小説を書くのは苦手だと語っていた伊坂さん。
しかし読んでみると大変面白く読みやすい、なんともまあ素晴らしい作品に仕上がっていました。
短編なのでサクサク読み進めることができ、伊坂作品をこれから読み始めたい方にはもってこいの小説です。
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逆ソクラテスの概要とあらすじ
2020年4月24日集英社より刊行、その後2023年6月20日集英社文庫より文庫化。
2020年に第33回柴田錬三郎賞受賞、さらに2021年には本屋大賞にもノミネートされている話題作です。
伊坂さんといえば本屋大賞の長年常連さんで、第5回の本屋大賞では「ゴールデンスランバー」にて大賞も受賞されていますね。
伊坂作品のレビュー記事一覧はこちら
本書はタイトルにもなっている作品「逆ソクラテス」をはじめ、「スロウではない」「非オプティマス」など5作品詰め込んだ短編集となっています。
どのお話も適度な長さなので短時間でも読みやすい。
なのにしっかり作り込まれていて改めて伊坂さんの作家としての腕を再確認することができます、やっぱりすげー。
- 逆ソクラテス
- スロウではない
- 非オプティマス
- アンスポーツマンライク
- 逆ワシントン
文庫本には逆ソクラテスの文庫化を記念して伊坂さんのインタビューも載っていますよ。
文庫本はこちらからぜひチェックしてみてね。
ここからは一番初めの作品である「逆ソクラテス」の簡単なあらすじをまとめます。
あらすじ(逆ソクラテス)
小学六年生だった時の担任、久留米は物事を決めつける節がある。
クラスメイトの草壁はその標的になっていて、久留米のせいで「ダサい」というラベルを貼られていた。
「敵は先入観だよ。」
久留米の先入観を崩そうとする安斎に声をかけられた僕は草壁と、途中から参加した佐久間と共にある作戦を実行する。
大人が決めつけたことが絶対で全て、本当にそれで良いのか?
自分の中の先入観を疑おう。
子供から大人まで、当たり前のことを改めて考え直させられる素敵な物語。
逆ソクラテスの感想
最後に逆ソクラテスを読んだ感想を内容に少し触れながらまとめていきたいと思います。
記憶が真っ白な状態で読みたい方はここからご注意ください。
個性溢れる学生たち
先ほども触れたように本作品はどのお話も学生が主人公。
若さゆえの行動や考え方が新鮮で、大人が読めば「社会の荒波に揉まれて大切なことを忘れていたんだ…。」ということに気付かされます。
いや少なくとも私は気付かされましたよ、えぇ。
お話に登場する学生たちが一生懸命行動するところを想像すると、「もし今自分がこの学生だったら同じことを言えるかなぁ…。」とか考えてしまう。
もちろんフィクションかと思いますので現実にこうした学生たちが居たのかと言われれば話は別ですが、なんだか若いって良いよなぁと改めて感じます。
バイタリティ溢れるあの感じ、ここ数年その感覚を味わってない人も多いのではないでしょうか。
ぜひ気になった社会人の方は読んでいただいて、あの頃の感覚を思い出してみてください。
そして何より現役で青春を謳歌せんとする学生諸君にもぜひ読んでほしい。
社会人になると分かりますが、毎日友達と会える学校という環境は奇跡に近いです。
登場人物たちに刺激を貰い、貴重な学生生活の糧としましょう。
もちろん学校なんて行きたくないよクソ食らえと思っている学生諸君もいるでしょうが、そんな君たちもぜひこの物語に逃げ込んできてくれよな。
常識を疑え
逆ソクラテス、かの有名な古代ギリシアの哲学者に「逆」をつけたその真意はぜひあなた自身で確かめてほしいのだ。
にしても読み進めていると、我々大人に先入観を崩せと言わんばかりの登場人物の言葉は少々耳(読書だから目か?)が痛くなる気もします。
逆ソクラテスに登場する安斎の口癖、「僕はそうは思わない」。
果たしてこれを会社の上司や嫌な先輩に言えるでしょうか?
どうしても社会を生き抜くためには、会社の暗黙の了解や常識とされていることに囚われがちです。
だけどそんな生活をしているとどうしても頭がカッチコッチステーション人間になってしまいます。(若い人には分からないネタかもしれませんね)
自分はこう考えていたなぁとか、勝手に解釈していたなぁという気付きを本作品から得ると、やはり若者の意見にもきちんと耳を傾けなければならないと感じます。
常識を常に疑うことってなかなか出来ませんが、実はとても大事なんですよね。
無知の知、自分は何も知らないってことを知っているだけマシだ。
ソクラテス先生の言葉を胸に、常に謙遜して常識に囚われず生きていくことが目標になりました。
読書感想文におすすめ
本書に書かれた5つのお話はどれも適度な長さで大変読みやすく、何より話が分かりやすい。
まだ小説をちゃんと読んだことのない人も、初めての小説としてぜひぜひおすすめ。
基本的に悲しいお話は無いので内容の重たい文芸小説が苦手な人でも手に取りやすいし、学生であれば各話の主人公たちと自分を照らし合わせて読み進めることもできちゃう。
よって長期休み課題あるあるの読書感想文にぴったりの小説だと思います。
読書感想文って内容が理解できていないとほんと筆が進まないんですよね、かといってネットで調べるのも手間がかかる。
せっかくの読書、どうせなら楽しく読んで晴々した気持ちと共に感想文を書き上げてみてはいかがでしょうか?
逆ソクラテスのあらすじと感想まとめ
今回は逆ソクラテスのあらすじと感想を簡単にまとめてみました。
子供って時に大人をもはっとさせる考え方や行動を見せますよね。
凝り固まった頭を少しほぐすためにも、物語の学生達に刺激をもらってみてはいかがでしょうか?
本記事が少しでも多くの皆様の参考になれば幸いです。
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