今回は伊坂幸太郎著「仙台ぐらし」をご紹介します。
読書好きにはご存知の通り、宮城県の県庁所在地である「仙台」は伊坂作品の舞台になることが多い地です。
伊坂さんのご出身は千葉県松戸市。
しかし母校である東北大学が仙台にあり、かつ現在も仙台在住ということで、仙台は伊坂幸太郎ゆかりの地と言っても過言ではないのです…。
※ちなみに管理人も仙台出身であるため、勝手に親近感が湧いています。
「仙台ぐらし」というタイトルから想像するに、伊坂さんが仙台の観光地とか名産とか紹介する本なのかなぁ?と勝手にイメージしていましたが、どうやら仙台に住んでいて感じたことなどをまとめたエッセイ集のようです。
さっそく内容と感想を下記にまとめておりますのでぜひ参考にどうぞ。
作品概要
2015年6月、集英社文庫より文庫本が発売。
本作品は仙台にある出版社、荒蝦夷の雑誌「仙台学」に掲載されていた伊坂さんの連載を中心に、2005年から2015年までに書かれたものをまとめたエッセイ集。
内容
「タクシーが多い」「見知らぬ知人が多い」など仙台あるあるが書いていたり。
心配性の伊坂さんの周りで起こった出来事がおもしろおかしく書かれていたり。
仙台の観光ガイドブックではないけれど、観光ブックには書かれていない仙台の魅力に気づける書籍。
また、このエッセイが書かれていた当時に起こった東日本大震災についても、その時の状況や心境を綴っている。
さらに震災を通して出会った人々をモデルとした短編小説「ブックモービル」も収録。
仙台に住んでいる人もそうでない人も、仙台を少し好きになるかもしれない。
日本の都市では地味な方だけど、仙台という街も実は意外と面白いんです。
一度読んだらちょっと仙台に足を運びたくなる…はず。
感想(レビュー)
仙台ぐらし。
何を隠そう私自身も仙台出身であり、この書籍を購入したのは仙台のど真ん中である一番町の書店であり、この感想も仙台で書いています。
本屋でこの書籍を発見したとき、「お、仙台の観光ブック的な内容かな?」と思って購入したのですが、全然違いました。笑
「仙台という街」に関することというよりは、仙台に住んでいる人々やそこで起こったことを中心に描かれているので、本書を読んでも仙台に詳しくなることできません…。
ただ、現役仙台人からすると「あるある…」「たしかにそうだわ…」と思う部分が多々あり、仙台に住んだことがある人は特に楽しめる内容になっています。
たとえば仙台にはタクシーが多いという部分。
たしかにこれでもかというほどタクシーが多く、仙台駅前には毎日数え切れないくらいタクシーがいます。
東京とか大都市に比べたらそんなに人がいるわけでもないのに…。
なんであんなにタクシーが多いんだ?と不思議に思っていたので、本書のおかげでそれが解決するに至りました。笑
そして何より仙台、東北と切っても切り離せないのが2011年3月11日に起こった東日本大震災です
震災を実際に経験し、小説家という特殊な仕事をする伊坂さんならではの苦悩や葛藤を書籍を読んで感じることができました。
多くの人々の生活と命を奪った震災。
影響を受けた地域もほとんど震災前の状況に戻り、今では当時の面影も少なくなりました。
震災を忘れるくらい復興が進んだと捉えればとても良いことですが、決して忘れてはいけない出来事でもあります。
亡くなった人たちの想いも忘れずに、後世に伝えていくのが私たちの役目だと改めて感じます。
全体を通して色々な側面から仙台を考えることができる、とても素晴らしいエッセイ集でした。
終わりに
今回は伊坂幸太郎著「仙台ぐらし」をご紹介しました。
夏はそこまで暑くもなく、かといって冬もそんなに寒くない。
住みやすいけど中途半端でもある街、仙台。
近頃は東北のニューヨークだなんて言われていたみたいですが、私はそうは思いません。笑
みなさんは仙台にどんなイメージがありますか?
気になった方はぜひ本書を一度お読みいただくとともに、もし旅行する機会があれば仙台、宮城を候補の一つにしてみて下さい!
本記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。