本記事は恋文の技術のあらすじと読んだ感想を簡単にまとめています。ネタバレは含んでおりませんので、まだ読まれていない方もぜひご覧ください。
森見登美彦著「恋文の技術」
京都を舞台にした作品を数多く発表している森見登美彦さん。
しかし本作は京都ではなく、なんと石川県は能登半島が舞台。
しかしそこは森見さん、しっかりと京都も出てくるのでファンの方も安心。
タイトルの通り「恋文の技術」とは、つまりラブレターを書く技術ということなのでしょうか?
自称・森見ファン初心者のわたくしも気になったのでさっそく読了させていただきました。
それでは恋文の技術の簡単なあらすじと共に読んだ感想をまとめていきたいと思います。
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恋文の技術の概要とあらすじ
2009年3月6日ポプラ社より刊行、2024年11月6日には刊行15周年に新版文庫本が発売されました。
新版には初版限定で今回のために森見さんが書き下ろした番外編の小冊子が付いています。
また期間限定で高松美咲さんの描いた全面帯も付いてくる嬉しい特典。
もちろん全面帯を外せば今まで通りのイラストが描かれているのでどちらのデザインが好みでも安心。
本作は書簡体小説となっており、主人公の守田一郎をを主として様々な人物との手紙のやりとりを見ながら物語が展開していきます。
お話の内容は全十二話の構成でどれも笑えるお手紙ばかり。
最初から最後まで全てが登場人物たちの手紙のやりとりのみ。
スマホでのやりとりが当たり前となっている現代に於いて、誰かの手紙を読むのはなんだかほっこりします。
さらにメインとなる舞台は京都ではなく能登半島であり、七尾や能登鹿島駅など石川県民なら聴き馴染みのある地名が多く登場。
森見作品=京都というイメージを敢えて崩した作品でもあるので、どういったお話が展開されていくのかも見所のひとつ。
あらすじ
京都の大学院生・守田一郎はクラゲ研究の一環で能登半島の付け根部分にある実験所へと飛ばされる。
研究の傍ら、遠く離れてしまった京都の仲間たちへ「文通武者修行」と称し手紙を書き始めた。
大学の友人、先輩、自身の妹らと手紙で大量のやりとりを行うが、本当に想いを伝えたい相手・伊吹夏子へは手紙を書けないでいる。
ヘタレな大学院生であることは多少自覚しているが彼にもプライドというものがある。
かくして彼は手紙で女性(伊吹)を落とすための「恋文の技術」の会得を目標とし、恋文代筆のベンチャー企業を興す未来まで描いていた。
果たして守田は恋文の技術を会得し、伊吹へ恋文を書くことができるのか?
アニメ化はされている?
2024年12月現在で恋文の技術はアニメ化がされていません。
作品が発売されて15年が経過しており、アニメ化に関する追加情報もないことから今後アニメ化される可能性も低いと言えそうです…。
もちろん可能性が0とは言い切れません、発売から何年も後にアニメや映画になる作品も存在します。
もし今後アニメ化されるとなった場合、公開日や声優がどなたになるのかとても気になりますね!
とにかくファンとしては期待せざるを得ないので首を長くして待ちましょう!
恋文の技術の感想(ネタバレなし)
ここからは恋文の技術を読んだ感想をネタバレなしでまとめていきます。
気になったからはぜひお手にとってみてください。
森見作品には珍しく京都以外が登場
前述した通り、本作の主人公・守田一郎は能登半島にある実験所へと送り出されており京都では生活していません。
そのため、お話では彼の能登半島での生活を中心に描かれています。
森見作品なのに京都が舞台じゃないなんて違和感しかない!と思っていたんですが、読み進めていくと案外すんなり話の中に入っていける。
気付いたら違和感など微塵もなくあっという間に読了。
さらに守田が文通をしている登場人物は京都に住んでいるため、全く京都が出てこないわけでもない。
京都の風も感じつつ、能登の風景も同時に想像できて面白い!
その点で言えば森見作品の中では少し異色とも取れる本作。
しかし読み終えると改めて「森見先生、京都以外の土地を出しても全然面白いじゃん…!」って感じです。
ぜひ私の故郷を舞台にした作品も描いて欲しい…。
安定のヘタレ学生
大学院生の守田は、想いを寄せる相手・伊吹さんにはなかなか手紙を出すことができません。
これまでに何度か試みてはいるものの、内容があまりにもマズいために失敗書簡集として送らずにまとめられています。
自分ではヘタレだと分かっている、けどそれを認めているんだかそうでないんだか、絶妙な狭間にいる学生を描かせれば森見さんはピカイチ。
これまでの森見作品では数々のヘタレ学生が登場し、物語を盛り上げてくれていますよね。
本作はそれが守田一郎というこれまた不器用な男。
さっさと伊吹さんと文通すれば良いのに、文通武者修行と称して京都の仲間たちと手紙を書き合い時間が過ぎていく。
当然大学院の研究でも良い成果を出すことはできておらず、何もうまくいっていない守田。
けれどどこか憎めないキャラでもあり、読み進めていくと可愛げすら感じられるのは私が歳を取ったからかな?
「イライラ」と「ほのぼの」のちょうど良いツボを押してくる森見作品の学生たち。
恋文の技術でもそれは変わらず健在でした。
書簡体小説ならではの味わい深さ
本作は書簡体小説ということで登場人物たちの手紙の内容のみが書かれており、物語の具体的な風景や行動についてはその手紙を読むことによって読者側が想像する必要があります。
故に普段の小説以上に想像力を掻き立てられて自分の頭の中で考える時間も必然と多くなり、よりお話を深く味わうことができました。
LINEやメールが当たり前となった現代に於いて、手紙のやりとりをしたことがないという人も多いのではないでしょうか?
更には手紙の出し方すらよく分からない!という方もいる時代。
便利な世の中にはなったけれど、やっぱり自分の文字と言葉で伝える手紙の方が気持ちが伝わりやすそう。
守田が恋文の技術を会得しようとしてくれたお陰で、改めて手紙の温かさを感じ、また思い出すことのできる素晴らしい作品でした。
恋文の技術のあらすじと感想まとめ
今回は恋文の技術のあらすじと感想を簡単にまとめてみました。
まさしく森見さんの作品らしい、ほっこり心温まる、だけど笑える物語でした。
書簡体小説なので森見さんの他作品に比べると少し系統が変わった構成にはなりますが、これはこれで面白い。
みなさんもぜひ好きな人に想いを伝える守田くんの「恋文の技術」を笑って読んでみてくださいね。
この他にも森見登美彦さんの作品はレビュー記事をまとめています。
本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸いです。
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