これまでに数多くの作品を世に出している小説家・森見登美彦さん。
小説内の独特な言い回しや世界観は多くの人を虜にし、森見ワールドへと誘い込みます。
今回はそんな森見登美彦さんの京都を舞台にしたオススメ作品を管理人の独断と偏見で7つご紹介。
みなさんも一度は聞いたことがあるであろう有名な作品をピックアップ!
ぜひこれから読んでみたいとお考えの方は参考にして頂ければと思います。
森見登美彦とは?
まず著者である森見登美彦さんを簡単におさらいしましょう。
生まれは1979年1月6日奈良県生駒市。
2003年に小説家デビュー。
京都大学を卒業されており、作品には京都の大学生を主人公にしたものが数多くあります。
ファンタジー寄りの作品が多く、情景は思い浮かぶのに非現実的な話を書くのがものすごくうまい印象です。
作品は映画化やアニメ化もされており、書籍のみならず映像でも楽しめるものが数多くあるので興味のある方は観てみてください!
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京都を舞台にした作品7選
それではさっそくどんな作品があるのか見ていきましょう!
個人的には全てオススメなので全部読んでほしいところです…
夜は短し歩けよ乙女
2006年11月29日角川書店より刊行。
第137回直木賞候補、2007年本屋大賞2位。
2017年の2月時点で累計売上130万部のベストセラーとなっています。
アニメ映画化や舞台化もされているため、名前を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか?
私にとっては森見作品といえばこれ!というくらいの代表作。
京都の大学を舞台に、「黒髪の乙女」に思いを寄せる「先輩」の恋模様を描いた恋愛系ファンタジー小説。
あくまで「奇遇」を装って接近するも、鈍感な彼女は先輩の恋心には目もくれず。
個性あふれる登場人物に翻弄されながら、果たして先輩は黒髪の乙女に想いを届けることができるのか…?
私の初めて読んだ森見作品がこの文庫本でした。
一気に森見ワールドへと引き込まれる独特の世界観がかなりクセになります。
キラキラというよりはジメッとした青春のお話のような気がしますが、読了後はスカッと梅雨明けしたような良い気分になれる一作。
読書初心者から上級者、若者からお年を召した方まで誰でも楽しめる言わずと知れた大人気作品です。
迷ったらまずこれを読んでみましょう!
四畳半神話大系
2005年1月5日太田出版より刊行。
2010年にテレビアニメ化。
全四話でそれぞれ独立したお話なんですが、四つの並行世界で話が進んでいるのが読み進むにつれて分かってきます。
主人公は京都大学3回生の男子学生。
悪友の小津やヒロインである明石さん、とにかく自由な樋口師匠など個性溢れる人物に囲まれながら主人公は充実したバラ色のキャンパスライフを目指していきます。
個人的には樋口師匠の仙人のような悟りを開いたキャラが好みでした…
それぞれのお話はところどころ内容が違うのですが、言い回しが共通していたり登場人物の行動が一緒だったりとうまいこと重なる部分があってよくできているなぁと感じました。
他にはない話の構成になっているのでジャンル分けも難しい一作。
だがしかし、つまるところ誰が読んでも新鮮な気持ちで、こんな本読んだことがない!という感覚が味わえるので気になった方はぜひ読んでみてください。
四畳半タイムマシンブルース
2020年7月29日KADOKAWA(角川書店)より刊行。
2022年6月25日文庫化。
さらに2022年9月30日にはアニメ映画として3週間限定全国ロードショー予定。
四畳半神話大系のその後の物語。
前作から15年の時を経て、満を辞して登場…!
登場人物や世界観はすべて引き継がれているので、四畳半神話大系から先に読むことを強くオススメします。
こちらは上田誠監督による舞台「サマータイムマシン・ブルース」の物語をベースとして森見さんが四畳半神話大系のメンバーをその物語に落とし込むというびっくりなアイデアから生まれた作品。
物語は夏が始まって早々、小津がクーラーのリモコンにコーラをこぼし、涼むことができなくなるという展開からスタート。
追い討ちをかけるように明石さんはどこの馬骨野郎とも知らないやつと五山送り火見物に出掛けると言い、気になる主人公。
そんな最中、未来からタイムマシンでやってきた田村君の登場により彼らは不思議な体験をすることになります。
前作にも劣らない、個人的にはこっちのほうが好きだった素晴らしいファンタジー作品。
舞台は読んでいるこっちも暑くなりそうな夏の京都。
夏の暑い日に涼しいところで読書をしたいという方にオススメの一冊です!
四畳半王国見聞録
2011年1月28日新潮社より刊行。
2013年6月26日新潮文庫にて文庫化。
四畳半王国の王である余(男子大学生)が、これから更なる国の発展に向けて計画を企てていく…
という壮大なお話のように感じるが、実際は法然院学生ハイツにある四畳半の一部屋での日常を森見チックに仕上げたリアルファンタジー作品。
真夏にブリーフ一丁で日傘をさした男性が出てきたり、気の強そうな女の子が出てきたりとこれまた森見ワールドを堪能できる作品に仕上がっています。
タイトルに「四畳半」とあるように、四畳半シリーズに登場する人物っぽい人たちもたびたび登場。
さらには他の作品にも出てきた人物も登場してくるなど、森見ファンにとっては色々な角度から楽しめる作品。
読了した感想としては京都×大学生=森見登美彦という式を改めて感じられるなぁということ。
しかも他に比べても特にファンタジーというか、不思議さを感じる作品な気がします(笑)
まずは他の作品をある程度読了してから読み始めた方がより楽しめるはず!
太陽の塔
2003年(平成15年)12月刊行。
同年第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。
森見登美彦さんの小説家デビュー作でもあります。
にしてもデビュー作から京都を舞台にした作品かつ独特な言い回しや世界観の森見ワールド全開なのがすごい..!
この時から既に小説家としての才能をいかんなく発揮されていたんですね。
京都の大学を休学中の主人公「私」が、元恋人の水尾さんを研究と称し追い続けていると、同じく水尾さんを追う男「遠藤」と出会います。
季節はもうすぐクリスマス、華のない大学生活にもがき苦しむ男たちにとってはとても嫌な時期。
しかし町ではええじゃないか騒動が起きて…。
タイトルにもなっている太陽の塔が作中でも出てきており、それがとても印象的でした。
デビュー作ということで森見登美彦にファンタジー小説を書かせたらこうなるのか!と世に知らしめた作品でもあります。
内容もそこまで多くない適度な量なので、時間を掛けずに読み切ることが可能。
あまり本を読まない人にもオススメの作品となっております。
新釈 走れメロス 他四篇
2007年3月祥伝社より刊行。
過去に文豪たちが書いた名作5作品の舞台を現代の京都に置き換え、展開は見覚えがあるのに初めて読む話というなんとも不思議で他に類を見ない面白い小説集。
山月記(中島敦)、藪の中(芥川龍之介)、走れメロス(太宰治)、桜の森の満開の下(坂口安吾)、百物語(森鴎外)という名だたる作品を森見ワールドに落とし込んだ、かなり笑えるものから意外とシリアスなものまで幅広い内容の作品となっています。
個人的なオススメはタイトルにもなっている走れメロス。
もちろんメロス本人は出てこないのですが、まさかこんな話に置き換わるとは…
衝撃を受けたものの、常時ほくそ笑みながら読了することができました。
森見作品の中でもかなりパロディ強めのお話です、文字だけの本でこんなに笑けてくるのもすごい。
とにかく一度読んでほしい作品の1つです…
宵山万華鏡
2009年7月刊行。
6つのそれぞれの人物視点から見た祇園祭宵山当日のお話し。
京都の日本を代表する祭り・祇園祭を舞台に、少し不思議な世界に迷い込むことができるファンタジーかつ若干ホラー?も感じることのできる小説。
森見作品の中でも特に京都を感じることのできる一作であり夏の夜、祇園祭宵山の時期に読むのにぴったりな一冊となっています。
実際に読んでみると少しゾクっとする感覚を味わうこととができ、海外のお話しにはない、なんというか日本の妖怪や怪談のような、ただそこまでがっつり怖い話ではないのでホラー系が大の苦手な私もスラスラ楽しく読むことができました。
夜は短し歩けよ乙女や、四畳半タイムマシンブルースなどポップファンタジーのイメージが強い森見登美彦さんではありますが、こんな作品も描くことができるのかとまた一つ勝手に感心してしまいました。
まとめ
今回は森見登美彦さんの京都を舞台にした作品を6つ紹介しました。
- 夜は短し歩けよ乙女
- 四畳半神話大系
- 四畳半タイムマシンブルース
- 四畳半王国見聞録
- 太陽の塔
- 新釈 走れメロス 他四篇
- 宵山万華鏡
私自身もとても大好きな作品ばかりです。
森見さんは読書にハマったきっかけになった作家のうちの一人。
いつか京都へ旅行にいったときはのんびりまったりと森見作品を読んでみたいものです。
まだ読んだことのない方、少しでも興味のある方はぜひ一度これらの作品から森見ワールドに足を踏み入れてみてください。
きっと楽しめること間違いなしですよ!
本記事の内容が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。