本記事では四畳半タイムマシンブルースのネタバレ感想をまとめています。登場人物である田村の正体など、ネタバレ要素を記載しておりますのでこれから楽しみたい方はご注意ください。
森見登美彦著「四畳半タイムマシンブルース」
とうとうこれを読むときが来ました…。森見さんの代表作でもある四畳半神話大系の続編、四畳半タイムマシンブルース!
これまで登場した個性豊かなキャラクターたちが再登場し、神話大系同様しっちゃかめっちゃかする奇想天外な物語らしい。まず面白いことは間違いないでしょう。
ということでつべこべ言うのもあれなのでさっそくネタバレ感想などをまとめます。
ぜひご参考までどうぞ!
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四畳半タイムマシンブルース概要(ネタバレなし)
2020年7月KADOKAWAより刊行、その後2022年6月に文庫化。四畳半神話大系が発売されてからおよそ15年の時を経て、満を辞して発売された続編となります。
その年に生まれた子は中学3年生、15年というのはそれくらい長いもの。まさかここで続編が登場するとは…ありがとう森見さん。
2022年9月にはアニメーション映画としても全国ロードショー、もちろん私も拝見させていただきました。そちらもめちゃめちゃおすすめなのでご興味おありの方はぜひ観てくださいほんと。
四畳半タイムマシンブルースあらすじ
時は夏真っ盛りの8月12日。地獄のような京都の暑い夏を冷房の効いた涼しい部屋で過ごそうというのに、小津がクーラーのリモコンにコーラをこぼした。
リモコンは完全に壊れクーラーは使えなくなってしまう。すると絶望している「私」の目の前に、突如としてタイムマシンが現れた。乗っていたのは「田村くん」という人物で、曰く今から25年後の8月12日から自分たちで作ったタイムマシンでやってきたという。
びっくり仰天な展開ながら「私」たちは田村くんが乗ってきたタイムマシンで昨日へと戻り、クーラーのリモコンが壊れないように過去を変えることを思いつく。
しかし過去を変えるとこれまで起こった出来事との辻褄が合わなくなり、自分たちも消滅してしまう可能性があった。過去へと移動し、「私」と明石さんは必死に辻褄を合わせようとするも小津や樋口師匠、城ヶ崎さんたちは奇想天外な動きをし始める。
果たして無事に辻褄を合わせることはできるのか、そして未来からきた田村くんの正体とは?
四畳半神話大系でお馴染みの仲間たちと共に、新たな物語がまた始まる。
四畳半タイムマシンブルースのネタバレ感想と田村の正体
ここからは四畳半タイムマシンブルースのネタバレ感想と田村の正体についてまとめています。
四畳半タイムマシンブルースのネタバレを含みますので、一度本編をお読みになってから目を通すことをおすすめします。
ネタバレ感想
お馴染みの登場人物たち
森見ワールド全開の世界観、話の流れ、言い回し、登場人物すべてが自分にマッチしたとてもとても好きな作品。
「私(四畳半神話大系同様、名前が明かされることはない)」や明石さん、小津、樋口師匠、羽貫さん、城ヶ崎さんと、前作でお馴染みの登場人物たちが出てくるので終始楽しみながら読むことができ「また会えた…!」と少し感動してしまいました。
あらすじでも述べたように、四畳半神話大系の登場人物がそのまま登場しますのでまずはそちらを読むことを強くオススメします。とは言ったものの引き継がれているのは登場人物のみであり、話としては完全に独立したものとなっているのでこちらから読んだとしてもまったく話が分からない!とはなりません。そこはご安心を。
また本作は「四畳半神話大系」と、上田誠さんの戯曲「サマータイムマシン・ブルース」とのコラボ作品でもあり、2つの作品を掛け合わせてタイトルが付けられています。話の内容は「サマータイムマシン・ブルース」だけど登場人物は「四畳半神話大系」ってわけですね。
「私」と明石さんの恋の行末
昨日と今日を行き来する。田村くんの乗ったタイムマシンで時間を旅するところも見どころですが、やはり「私」と明石さんの恋の行末も気になるところ。
無事に今日へと戻った「私」と明石さん。「私」は昨日と今日はそっくりな1日で、明日もまたそっくりな1日を過ごすのはごめんだと決意し明石さんへ声をかけようとします。すると逆に明石さんから「五山送り火」をどこで一緒に見物するか聞かれるのでした。
その後どのように五山送り火デートを楽しんだのか、お付き合いはできたのかなど2人の恋模様についてはそれ以上深く語られることはありませんでしたが、最後は「私」が次のように語り幕を閉じます。
成就した恋ほど語るに値しないものはない。
「四畳半タイムマシンブルース」森見登美彦著 KADOKAWA(2020/7/29) より引用
つまり2人は結ばれたと。「私」の恥ずかしがり屋でキザな感じのセリフがまた良いですよね…なんて素敵な終わり方なんでしょう。
読むなら夏がぴったり
物語の舞台は読んでいるこちらも暑くなりそうな京都の夏。クーラーのリモコンが壊れた下鴨幽水荘の暑さがひしひしと伝わってきます。
小津の余計な行動のせいでリモコンは壊れるわ、おまけに暑いわで「私」がイライラするのも無理はないですね。
そして登場人物のほとんどが大学生であるところから、やはり青春を感じざるを得ません。青春といえば夏、ということで本作を読むなら真夏の暑さを感じる季節がぴったり。
ぜひ扇風機の風に当たりながら、四畳半タイムマシンブルースで素敵な読書時間をお過ごしください。
田村の正体、彼は何者?
物語の終盤、田村くんの鞄に小さな熊の人形「もちぐま」が入っていたことが判明します。もちぐまといえば明石さんもバッグにぶら下げており「私」には見覚えがありました。
問いただすと田村くんは自分の母親があの明石さんであることを打ち明けます。田村という名前も偽名で本名は明石であることも話し、父親は婿養子なので母親の姓なんだとか。
しかし今回起こった出来事については未来の明石さんから聞かされておらず、父も母との出会いについてはほとんど語ることはなく、「成就した恋ほど語るに値しないものはない。」とはぐらかすそう。
もちろん「私」は明石さんの結婚相手を聞き出そうとしますが、田村くんはそれを教えてはくれず未来へと帰って行きました。
もう皆さんお気づきかと思いますが、田村くんの父がはぐらかすセリフからも分かるように田村くんは「私」と明石さんの子供ということになります。
自分たちの子供が未来からやってきているとは…もちろん当の2人がこの時に気づくことはありませんが、未来のどこかでそれを認識するはずです。2人はその時どんな会話をするんでしょうね、想像しただけでニヤニヤしちゃいそうです。
四畳半タイムマシンブルースのネタバレ感想と田村の正体まとめ
今回は四畳半タイムマシンブルースのネタバレ感想と田村くんの正体についてまとめました。
「京都×大学生÷ファンタジー=森見登美彦」という図式も世間一般的には広く認知されてきた頃合いでしょうか?
現実とファンタジーが入り混じったアニメや漫画等が好きな方は特に楽しめる作品かと思います。ぜひ読んでみてくださいね。
これ以外にも森見登美彦さん作品の関連記事はたくさんあるのでそちらもどうぞ。
本記事が少しでも多くの方の参考となりましたら幸いです。
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