今回は森見登美彦著「宵山万華鏡」をご紹介します。
かの有名な京都の宵山と、綺麗な幾何学模様を描く万華鏡には一体どんな繋がりがあるのでしょう。
これまで森見登美彦さんの小説はたくさん読んできましたが、代表作である「夜は短し歩けよ乙女」や、「四畳半タイムマシンブルース」など森見登美彦独自のファンタジー作品とはまた一風変わった作風でした。
妖怪のような不可思議な存在を考えたり、少しゾクゾクする感じが好きな方にはすごくオススメ。
作品概要まとめ
2009年7月集英社より刊行。
名前の通り、森見登美彦さんゆかりの地である京都を舞台にした作品です。
森見登美彦=ポップなファンタジーというイメージをお持ちの方は良い意味で裏切られる。
とても和風な、まさに京都で読みたくなるような作品。
あらすじ
舞台は京都。
今夜は祇園祭宵山。
街は普段の雰囲気とは違い、夏の風物詩到来により活気で溢れかえっている。
金魚入りの風船を持った大坊主、謎の舞妓などの個性的なキャラクター。
彼らが崇拝する宵山の主、宵山様とは何者か?
宵山法度違反を犯してしまった俺は、宵山様の元へ連行される。
逸れた姉妹、繰り返す宵山の朝、過去に起こった祇園祭での失踪事件。
宵山に訪れた人々と思いが入り混じる様は、まるでその瞬間にのみ映し出される万華鏡を覗いた景色のそれである。
いま目の前で描かれているのは現実か、幻想か。
宵山万華鏡の世界へと引き込まれる、森見ファンタジーの真骨頂を感じられる短編集。
感想(レビュー)
これまで森見作品をいくつか読み進めてきましたが、これまで読んだものとは少し変わった作風に驚き。
森見さんが得意とするファンタジー作品ではあるものの、少し奇妙なホラー寄りというか、日本の妖しい部分を文字にしたような作品。
どうしてこんな不思議な話が思いつくんだろう…と不思議な気持ちになる、うーん不思議だ。
本作はいくつかの短編集を連作にしたものであり、最初の話から読み進めることで徐々に登場人物の関係性やその背景が浮かび上がってくる。
ちなみにホラー作品がめちゃ苦手な私だが、そこまで恐怖を感じるようなものではなく一安心。
作品内には京都、祇園祭、宵山、浴衣、金魚、万華鏡、流しそうめんなど日本や京都をこれでもかと感じさせるワードがそこかしこに散りばめられており、祇園祭が開催される夏の夜読むのにぴったり。
心地の良い夜風にでもあたりながら読み進めることでよりいっそう作品を楽しめることでしょう。
個人的森見作品あるあるだが、読むとほんとに京都旅行に行きたくなる。
他の作品に勝るとも劣らず読了後は改めて森見さんの発想力に驚かされた。
終わりに
今回は森見登美彦著「宵山万華鏡」をご紹介しました。
宵山万華鏡の世界へ、一度足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
本記事が少しでも皆様のご参考になれば幸いです。