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四畳半神話大系のあらすじ解説と感想(ネタバレなし)

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本記事では四畳半神話大系のあらすじ解説と読んだ感想をまとめています。ネタバレはありませんのでご興味のある方はぜひ参考にどうぞ。


森見登美彦著「四畳半神話大系」

2005年1月大田出版より刊行、その後2008年には角川書店(角川文庫)にて文庫化。文庫化するにあたって表紙絵も一新しており、森見作品でよく見る中村佑介さんが表紙絵を手掛けています。

文庫本の表紙絵は以前は象が描かれているものだったみたいですか、アニメ化を機に中村佑介さんデザインのものへ差し変わっていったようです。

また、森見登美彦さんの作品としては「太陽の塔」に続く2作目にあたります。私が初めて読んだ森見作品は「夜は短し歩けよ乙女」で、同じスタイルの表紙絵に惹かれ即購入。

こちらは私が本を好きになったきっかけの作品でもあるので、読書初心者の方にもおすすめしています。

それではあらすじ解説と読んだ感想をまとめてまいります。

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四畳半神話大系のあらすじ解説

四畳半神話大系のあらすじは以下4つのお話から構成されています。

  • 第一話 四畳半恋ノ邪魔者
  • 第二話 四畳半自虐的代理代理戦争
  • 第三話 四畳半の甘い生活
  • 最終話 八十日間四畳半一周

それぞれ「四畳半」という単語がついたタイトルになっており、何かしらこの四畳半に関わりがあることが伺えますね。

物語は京都の大学に通う3回生の男子学生「私」を主として盟友?の小津、1つ後輩の明石さん、仙人のような樋口師匠や歯科衛生士の羽貫さんなど、個性豊かなキャラクターと共に過ごす奇想天外な学生生活を描いています。

本作の大きな特徴として並行世界の要素が取り入れられている点が上げられます。主人公となる「私」が大学生活において違う選択肢を取った場合のお話がそれぞれに展開されており、第一話では映画サークルの「みそぎ」へ入ったパターン、第二話は樋口師匠に弟子入りするパターン、第三話はソフトボールサークルの「ほんわか」へ入ったパターン、最終話は秘密組織である福猫飯店の下部組織「図書館警察」へ入るパターンです。

お話の始まりは統一されているのに少しずつ変わっていく未来。この設定がまた面白く、多くの人が本作で森見登美彦の小説家としての腕に唸らされたことでしょう。

ちなみに主人公の「私」については名前を明かされることはありませんが、メインキャラに役名がないのは夜は短し歩けよ乙女と同じですね。

ここからはひとつひとつのあらすじを簡単に解説していきます。

「第一話 四畳半恋ノ邪魔者」について

入学当時、右も左も判らぬまま大学構内を歩いていると大量のビラが配られた。新入生をサークルへ勧誘するためのそのビラは、私の情報処理能力を超えた量であり全てを把握するなど到底できない。

夢に見た「薔薇色のキャンパスライフ」を過ごすための入り口が開かれているようにも思え、朦朧としながら歩いていると映画サークル「みそぎ」の看板を持った学生を見つける。

その後みそぎへと入った私だが、サークルの雰囲気になかなか馴染むことができない。サークル内で隅に追いやられていると縁起の悪い顔をした不気味な男が立っていた。それが私と盟友・小津との出会いである。

「第二話 四畳半自虐的代理代理戦争」について

この話の主な登場人物は私と第2の主人公・樋口師匠、そして小津だ。入学をしてからの2年間、私は学問そっちのけで樋口師匠へと師事していた。どう見ても変わり者の彼は噂によると大学8回生らしい。

茄子のような顔で無精髭が生えており、いつも同じ浴衣を着ているがどこか高貴に見える。普通ではない雰囲気は見た目だけではなく、ただひたすら堂々と暮らすことだけに専念するその態度にも現れていた。

しかし私が3回生の5月末、樋口師匠は突然失踪し姿を消すのだった。

「第三話 四畳半の甘い生活」について

新入生にはサークル勧誘のビラが大量に配られる。あまりに大量のビラをもらっては全てを把握することなど到底できず、私は朦朧としながら歩いていた。

私はいろいろなサークルが新歓説明会の待ち合わせ場所としている大学内の時計台へと移動した。そこには映画サークル「みそぎ」の看板を持った学生がいたが、声を掛ける踏ん切りがつかないでいると「ほんわか」と書かれた手看板を持つ学生を見つける。私が興味を惹かれたサークルの1つで、活動内容はソフトボールだ。

聞くところによるとほんわかには女性も大勢いるらしく、私は「運動をするのも悪くあるまい」と考えこのサークルへ入ることに。サークルには一向に馴染むことができなかったが、唯一人間味を感じさせる小津という男がそこにはいた。

「最終話 八十日間四畳半一周」について

この話の主な登場人物は私である、ほとんど私なのである。

当時、ピカピカの1回生だった私はサークル勧誘で渡された大量のビラを持ち朦朧としながら歩いていた。そこで出会ったのが、秘密機関「福猫飯店」である。時計台で声を掛けてきたのは福猫飯店の下部組織「図書館警察」の幹部・相島先輩であった。

かくしてこの図書館警察へ所属することになった私は、こいつと組めと縁起の悪い顔をした不気味な男を紹介される。それが私と盟友・小津との出会いだった。

四畳半神話大系の感想(ネタバレなし)

ここからは四畳半神話大系を読み終えた感想をまとめていきます。軽く内容には触れますがネタバレは含んでおりませんので、まだ読まれていない方もぜひ目を通してみてね。

今すぐ京都に行きたい

四畳半神話大系は京都の様々な場所がたくさん出てくるのが魅力のひとつ。下鴨神社、鴨川デルタ、木屋町通など京都ゆかりの地がたくさん登場し、主人公の「私」は京都大学農学部の3回生。

ちなみに著者の森見登美彦さんは京都大学農学部のご出身、もしかすると自分の学生生活と「私」を重ね合わせて物語を作り上げたのかもしれませんね。

もちろんお話に出てくる京都の地名は実在する場所なので観光に行くこともできちゃいます。京都を舞台とした作品を数多く残している森見作品の中でも、個人的に本作は特に京都のイメージが強い作品です。森見作品と京都ってめちゃめちゃ相性が良いですよね。京都の妖艶な感じというか、ミステリアスな雰囲気に森見ファンタジーを掛け合わせるととんでもない化学反応が起きることは他作品でもすでに実証されています。

私自身は京都といえば学生時代の修学旅行でしかいったことがないので、いつか四畳半神話大系含む森見作品を持って聖地でゆっくり読書したいものです…。鴨川沿いで読書、想像するだけでにやにやが止まりません。

X(旧Twitter)やInstagramを見てみると、やはり読書好きの森見ファンが書籍やグッズを片手に聖地巡礼を楽しんでいるみたいです、あぁ羨ましい。

並行世界をうまく取り入れた物語

それぞれ違った選択肢を描く物語の構成はとてもとーっても面白いです。とにかく読んでみればこの面白さがわかります。第一話を読み終えて第二話を読み始めたとき、書き出しが同じなので大変驚きました。

お話によっては同じ登場人物が出てきたり新しい人物がでてきたり、「私」が選ぶ未来によって起こることが異なっていくので展開がまったく予想できません。

所々に次のお話に登場する人物や事柄が散りばめられているので、読み終えた後にもう一度読むと新たな発見をすることもできます。こんなに面白い物語を森見登美彦さんは20代半ばで執筆しているんですから、その才能とセンスにまた驚かされますね…私なんて同い年の時は何もできていなかったよ…。

ちなみに本作はアニメ化もされておりそちらもかなり人気。読書に慣れていない方はアニメから入ってみるのもいいかもしれません。

個性的なキャラクターが飽きさせない

なんといっても一番の魅力は物語に登場する個性豊かなキャラクターたちではないでしょうか。全員が一癖も二癖もある人物で、特に小津なんかは夢にも出てきそう。

個人的には明石さんが一番好きですね、森見さんが描く女性ヒロインは癖がありながらキュートでなんだか可愛く見えて仕方がありません。夜は短し歩けよ乙女のヒロイン「黒髪の乙女」に似た雰囲気を漂わせています、こういう不思議ちゃんみたいなキャラクター、大好物です。(じゅるり)

その後2020年には四畳半タイムマシンブルースが刊行されていますが、こちらは本作16年ぶりとなる待望の続編でこれまたかなりの注目を集めていました。同じくあらすじと感想をまとていますので、よろしければ以下より見てみてね。

四畳半神話大系で登場したキャラクターがそのまま出てくるので、本作を読み終えた方は必見です。アニメ映画にもなっているのでこちらも要チェック。

全体を通して楽しく最後まで読める良作でした、今後の森見登美彦さんの作品も目が離せません。

まとめ

今回は四畳半神話大系のあらすじ解説と感想をまとめてみました。

ここでもいかんなく発揮されている森見登美彦ワールド。キャラクター全員の個性が爆発していて始めから終わりまでずっと楽しめる作品でした。

森見さん独特の言い回しや表現がついつい癖になる、ファンが多いのも納得ですね。

本記事の内容が少しでも多くの方々の参考となりましたら幸いです。

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